太陽のポマドーロ2005.1.13

 十年くらい前のことだと記憶している。
 ある商社の仕事をした。
 被写体はトマト。真っ赤で、きれいなかたちをしたトマトは、見るからに美味しそうだった。
 そう、セイヨウオオマルハナバチを使って受粉させたトマトは、果肉がぎっしり詰まっていて、おまけに、旨味が濃いゼリーもいっぱいになるという。
 じゃあ、今までのトマトって、どうやって作っていたのか? なんと、ホルモン剤(一種の農薬ですな)を花に噴霧していたそうだ。これだと、人件費もかかる、人工的で味が落ちる、その上栄養価も低いものしかできない。
 近年、僕らが美味しいトマトを、比較的安価に買えるのは、このハチ君のおかげだったわけだ。そうそう、変なクスリを使わないから、安全性も高いらしい。
 そんなこと、しばらく忘れていたが、例の外来生物被害防止法でブラックバスとともに、このハチにもスポットライトがあてられた。一部の地域では逃げ出したであろう個体が巣を作っているのが確認されたようだが、これがミヤコタナゴとタイリクバラタナゴのような関係になってしまうのか、それとも違うのか、今のところ分かっていない。反面、僕のようなトマト好きは多いらしく、市場の売り上げを見ると恩恵を被っている消費者と生産者の数は日本の人口の数割を占めるのではないだろうか。
 外来生物被害防止法では、指定された種を放したりすると、法人で最大一億円もの罰金が科せられる。
 ハウス農家などは、有限会社などにして経営しているところが多いから、このまま指定されてしまえば、見せしめ的に告発されるところが出るんじゃないかと心配していたのだが、どうやら一年の猶予ができたことはご同慶の至りである。

 昔、ある魚類学者に小魚なんかのリプロダクションレートがどれくらいのものかと質問したことがある。釣魚管理に関心があったので、ブラックバスを釣り場で維持するための参考にしたかったのだが、返ってきた答えは意外なものだった。
「魚なんか、虫と同じで、環境などの要因で爆発的に増えたり減ったりするから、そんな数字は算出不能。だいたい資源量を計る方法が、まだ十分とは言えない状態なんだから」
 ふーん、そうなんだ。虫と魚ねえ‥‥
 外来生物被害防止法をよく読んでいくと、飼養の許可についての項目がある。かなり厳しい条件が課せられるみたいなんだけど、この方法は陸上のほ乳類やは虫類を念頭においているから、セイヨウオオマルハナバチやブラックバスの管理という点では難しい、というか不可能だろう。
 この二種が利用者を含めた専門家による小グループで審議されているのが象徴的に思えてならない。

 きっと、環境省としては、管理方法を徹底することなどの条件をつけて、セイヨウオオマルハナバチを指定したいんだと思う。役所にとって、許可という仕事が大きな割合を占めるのだから。
 でも、きっと、トマト高くなっちゃうだろうなあ‥‥って、トマトも外来種か‥‥
 ん? マルハナバチを使った農法はヨーロッパからきたもの。イタリアじゃマンマのトマトソースが、日本のみそ汁みたいにお袋の味。で、トマトの原産はアンデス。大航海時代の遺産。
 ははは。


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